許容の中で

 野心的なドキュメンタリーで定評のある東海テレビのスタッフが、『さよならテレビ』(日本、ひじ方宏史)では、自局の報道現場にカメラを入れる。視聴率にこだわるあまり、伝えるべきニュースの取材がおろそかになったり、働き改革を推進する一方、契約社員に責めを負わせる体制を脱却できない。放送ミスや視聴者のクレームを恐れるあまり、発言や題材に過度な気遣いをする……。

 テレビ離れが進む中、民法とて、日増しに制約が厳しくなり、テレビならではの思い切った企画を通しにくい事態になっている。やらせ番組が非難を浴びる昨今、この番組自体のからくりも最後に明かされるが、それでも伝えるべきことがあるならば、許容されるべきだろう。ぎりぎり許される範囲の中で、何をどこまでやるか。テレビマンの力量が試されよう。

 

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