時効事件の秘密

mukuku2007-05-09

 ドラマ『帰ってきた時効警察』(テレビ朝日系)を見ていて心地いいのは、時効の事件を警官が趣味で解決するという設定や登場人物のユニークさもさることながら、スタッフもキャストも楽しんで作っていることが、伝わってくるからだ。
 明かされる殺人事件自体は陰惨だ。それがギャグの連発で緩和され、時効という安心感もあって、気楽に鑑賞できる。警官の霧山修一朗が「誰にも言いませんよカード」(犯人であることを明かさない約束の証明書)を被疑者に渡すことをとがめる視聴者は、まさか、いないだろう。
 こうして、作り手と受け手に共犯関係が成立する。いわゆる健康問題などのやらせ番組と違うのは、両者に自覚があることだ。
 童話『王様の耳はロバの耳』では、王様の秘密を知った理髪師が、秘密を明かさないように命じられて気に病むが、時効警察のメンバーは、秘密を隠すやましさを持たない。視聴者もまた、秘密隠しを楽しんでいる。その行為自体、ある種の毒が潜んでいると言えるが、それこそが、おもしろさの秘密でもある。

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