ロッキー、最後の戦い

mukuku2007-05-06

 アルゼンチン映画の『ボンボン』(カルロス=ソリン)は、初老の男の物語だ。
 ガソリンスタンドを失職したビジェガス。年を取り、これといった技能もない。仕事が見つからず、同居の娘にも冷たくされる。そんなさえない男に救いが訪れる。血統書つきの犬を偶然手に入れたことから、幸運が芽生えていく。
 こんなふうに外から幸運が舞い込むケースはまれだ。『ロッキー・ザ・ファイナル』(米国、シルベスター=スタローン)では、ロッキーが自力で栄誉を取り戻す。
 元ボクシング・ヘビー級王者のロッキーは、引退して、イタリア料理店を経営。悠々自適に見えるが、内心はさびしい。妻を失い、息子にも煙たがれているのである。そんな彼に、現役チャンピオンとのエキジビジョンマッチの話が舞い込む。最後の戦いに向けて、トレーニングを開始。再び、フィラデルフィアの階段を走る。
 撮影当時、スタローンは六〇歳。さすがに体力の衰えは隠せないものの、鍛え抜かれた身体は健在だ。いたずらに暑苦しいだけの男が挑戦心を説いても、うっとうしいだけだが、スタローンのメッセージは健康的で、説得力がある。
 ちょっとしたチャンスはだれにでも訪れる。そのチャンスを広げるには、心の強さが要る。 

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