寝たきり歌人

 寝たきりで早朝から痛みに苦しみ、排せつさえ、人に任せざるを得ない遠藤滋。助けてもらうには、すべてをさらけ出すしかない。

 ベッドの上で35年、生きてきた。大勢の介助者も、彼とかかわることで、生活に張り合いを持てるようになる。遠藤と向き合うには、自分がきちんと立っていなければならないのだ。

 遠藤は、短歌を始めた。か細い声を聞き分け、文字を入力するのは介助者の仕事だ。

 相模原の障害者無差別殺人に反応して、いくつもの歌を詠む歌人。ドキュメンタリー『えんとこの歌 寝たきり歌人・遠藤滋』(日本、伊勢真一)には、ベット上の歌人を笑顔で取り囲む介助者と、ほくそ笑む男が映っている。遠藤の床は、小さな宇宙でもある。

 

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