英雄どころか・・・

ハドソン川の奇跡』(米国、クリント・イーストウッド)の機長は、わかりやすい英雄ではない。
 エンジン損傷で墜落必至の飛行機を川に不時着させて乗客全員を救った機長。国民には英雄視されるが、国家運輸安全委員会や保険会社からは、彼の判断が的確だったのか、疑われる。無謀な指揮によって、乗客を危険な目に遭わせたとして、公聴会にかけられたのである。
 保存記録やシュミレーションの検証によって、行動の合理性は認定される。けれども、もし機長に一つでも落ち度があったならば、英雄どころか、罪人として糾弾されたことだろう。記録や検証の手段が発達し、規制が厳密になった現代の怖さだ。

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