小説家の幸福

 小説を書くときの私は、「十分な取材をして、準備万端整って」などということがないまま、見切発車の状態でスタートしてしまうので、書き始めてかなりの間は不安です。最後の方になって、「あ、小説になった」と思えた瞬間、やっと幸福になります。(橋本治「背景を見ている幸福」『新潮』5月号)

 小説の書き手には、それぞれの理由があり、それぞれの幸福がある。
 

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