現実とファンタジー

 エンデがファンタジーを書き始める時、なによりその基本構造が、しっかり組み立てられている。それでもかれが行き詰ってフラフラしているとすれば、その時かれは、いったん作ったファンタジーの仕掛けを担ったまま、現実世界へ戻っているのである。そのようにして厄介と共に現実を生きることがハズミとなって、彼の担っている仕掛けは動きはじめる。物語は行き詰まりを突破する。(大江健三郎『小説の経験』朝日新聞社

 現実との行き来なしに、ファンタジーは成立しない。

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