国王たるために


 国王とて人間であり、常人が持つような欠点を持つのも不思議ではない。それでも、立場上、克服しなければならない。
英国王のスピーチ』(英国・オーストラリア、トム・フーパー)では、ジョージ6世が吃音の矯正を迫られた。指南役を引き受けたのは役者崩れのライオネルである。国王が相手であっても、対等の立場を主張し、自己流の方法論を貫いた。
 6世は強い王ではなかったが、強い王を演じることはできた。役者としては国王役に恵まれなかったライオネルも、演出は見事に果たしたのである。

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