秘密と友情

mukuku2007-05-27

 汚い部屋や整形体験をブログで披露してしまう。そんな女性が増えている。秘密の告白がストレス解消になっているという。(『日経新聞』25日夕刊)
 もっとも、顔の見えない相手に明かせる秘密は、まだ軽いほう。深刻になると、よほど信頼できる相手でないと、打ち明けにくい。
 秘密には二面性がある。隠したいが、明かしたい。処理が厄介であり、話相手を見つけるのは難しい。
 山田太一脚本のドラマ『星ひとつの夜』(フジテレビ)では、清掃員(渡辺謙)とデイトレーダー(玉木宏)が忘れ物を通じて親しくなり、互いの秘密を話す。世代の違う二人が傷心を理解しつつ、惹かれあう。その関係は、性愛的なものでもないし、親子のようなものでもない。友情のようなものだが、恋愛や家族愛よりも、ある面では心をときめかせる関係である。
 日本では、年齢差のある相手と友情を保つのが難しい。先輩・後輩というような上下の堅苦しい関係に陥りがちだ。
 米国なら、もっと開放的である。トム=クルーズは、年齢ではポール=ニューマンよりもはるかに下だが、お互いに友人。それが不自然でない。渡辺が世代を越えた関係を演じられるのも、米国帰りというキャリアが活かされているのかもしれない。
 特定の世代や趣味の人間だけで固まると、関係が行き詰まりやすい。閉塞感を乗り越えるには、壁の存在を理解しつつ、壁を取り払う意識が必要である。その意識を持つ人に対してなら、秘密を話せるかもしれない。

アクセスカウンター