映画の力

 ひさしぶりの最新作『瞳をとじて』(スペイン)に至るまで、31年間、映画を撮らなかったビクトル・エリセは、決して映画の力に失望したからではない。主人公を通じて、失踪した俳優を探し求めることで、新たな結びつきを可能にした。相手は、知人だったり、その家族だったり、かつての恋人である。放置していたフィルムとも再び巡り合う。俳優は記憶を失い、風貌も変わり果てているが、再会がかすかな希望を感じさせる。

     



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