司法の独立

 確証がないにもかかわらず、同時多発テロ関与の汚名を着せられ、グアンタナモ収容所に収監された青年。連日拷問を受け、裁判すら受けられないまま、ひどい待遇で長期間拘留される。裁判所から釈放命令が出ても、米政府はなおも、拘留を続け、解放まで14年かかった。

モーリタニアン 黒塗りの記録』(英国、ケビン・マクドナルド)は、その顛末を、被告側と軍側双方の弁護士の視点から、明るみにする。名目を重視するあまり、非人道的な行為を停止できなかった米政府は、糾弾されるべきものだが、一方で司法の独立性が、ぎりぎりのところで維持されているバランス感覚に、米国民主主義の底力が見える。

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