男の功罪

スケアクロウ』(米国、ジェリー・シャッツバーグ)では、長旅を経て妻子との再会を目指した男が、子どもの死を知って統合失調症になる。これは決して唐突なことではない。それまでの突飛で過敏すぎる彼のふるまいからすれば、残酷な現実(妻の吐いた虚偽の言葉によるもの)を知らされた以上、ありえた結末である。妻子を捨て、わが道を歩んできたゆえのしっぺ返しだが、彼とて、すべての人間を裏切ったわけではない。ヒッチハイクの同行者だった男には、信頼すべき男女の実在を教え、生きる楽しみを与えたのである。

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