言葉の覚悟

筒井康隆展』(世田谷文学館)は、作家の仕事ぶりを視覚に訴える企画展だ。一時期の断筆時代をものともせぬ膨大な仕事量が圧巻だ。一級の役者や音楽家としても活躍した筒井の多彩な才能は、今日の芸人を、質量において、はるかにしのぐだろう。
 執筆量は多いが、言葉をただかきとばしたのではない。きれいに清書され、製本された原稿に、言葉を重んじる誠実さがある。言葉狩りへの反発は、言葉を軽視しないからこそ生まれた覚悟だったのだろう。

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