健康な作為


 映画を撮ることを禁じられた監督が、タクシーと乗客とのやり取りというそれだけの設定で、コミカルかつ、スリリングで、しかも思いがけない展開に持ち込む。
 作為的な映画に見せないようにしつつ、明らかに作為的な映画『人生タクシー』(イラン、ジャファル=パナヒ)の技法は、きわめて批評的である。だが、なにがなんでも映画を撮り、なおかつ見る者を楽しませるという創作姿勢は、いたって健康的なのだ。

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