近代文学


文學界』12月号の関川夏央との対談で、高橋源一郎が、住民に解決策を提示する大石静脚本のドラマ『家売る女』と対比させて、ひきこもりばかりの近代文学を批判している。

高橋 みんな近代文学になってしまっているんですよ。「僕は苦しい。部屋から出られない」という個人の悩みばかり書いている。でもそのテレビドラマは、引きこもりを純粋に経済の問題として解決する。……いじめの小説で、いかに陰惨ないじめがあったという話を書かれても、読みたくない。そこに読者の視点はないから。……

 だが、読者の視点とは何か。文学には、エンタメ的な前向き路線とは、別の切り口での書き方もあるだろう。
 閉じた姿勢を続けてきたのは、己自身ではないか。文学者には、自問する姿勢も必要だ。

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