平成の文学


 浦田憲治『未完の平成文学史』(早川書房)の立場は、作品の批評家ではない。ジャーリストとしての立場から、平成文学の流れをたどっている。昭和以降の文学を知る著者が、歴史を踏まえつつ、現代の文学を俯瞰する。記者らしいバランス感覚と、元文学青年としての愛着が、記述の背後にある。
 後半、エンターテインメントのテーマ性や描写力にも力点が置かれるが、そのことは、境界を超えた文学の傾向をも知らしめることになろう。

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