米国の映画

 
 ビンラディンを敵としか思わず、暗殺のために拷問や民家襲撃を必要悪と考えるCIAの発想を黙認するのは、危険な発想である。
 作戦を先導した女性局員を肯定できるわけではないが、英雄として描きにくい存在を直視した『ゼロ・ダーク・サーティ』(米国、キャスリン・ビグロー)は、撮りがたい対象をあえて撮って、見る者の好奇心を満たし、映画としての緊迫感も失っていない。
 問題作でありながら、娯楽劇。まさに、米国の映画である。

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