惨劇の発砲先


 同列に近い仲間は疑って殺し合うが、上層部は決して疑わない。
アウトレイジ』(日本、北野武)のヤクザたちは、間抜けな姿勢に徹している。だからこそ、残忍な抗争が、滑稽味を帯びるのだ。
 グロテスクな惨劇の発泡先は、ヤクザではない。不信感を口にしながらも、内実はお上を信じている大衆であり、映画の約束事を信じきっている観客なのである。

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