密約の責任

 
 沖縄返還の代償として、日本が米国に提案した密約は、結果として、基地の固定化を招く事態になった。提言者だった大学教授は、返還から24年後、責任を感じて命を絶つ。
『密使 若泉敬 沖縄返還の代償』(教育テレビ)で、密約以降、罪の
意識が消えなかった若泉の後半生が描かれている。
 日本側から言い出さなくても、米国は密約にメリットを感じていた。それだけに、自害という決着には異論もあろうし、最期まで真実の追及と公表に尽くすべきだと考えるほうが、理にかなうだろう。
 とはいえ、重い咎(とが)を水に流すことなく、晩年まで意識を持ち続けた姿勢は、とがめるべきではない。 

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