小説アート論

mukuku2010-02-28

『煙滅』(ジョルジュ・ペレック水声社)の書評(『朝日新聞』28日)で奥泉光が以下のように記している。

 翻訳書『煙滅』は、……「い」段抜きの成約を訳文に課すという形で、原作に倍するとんでもなさを素晴らしく実現している。
 そんなことをしてなんの意味があるの? と問うのは、小説を読んだり書いたりすることにどんな意味があるのかと問うのと同じである。つまり、そういうことをするものこそが小説なのだ。素朴にいっても、小説は言葉のアートなのであり、だからそういうことをする意味が分からないという人は、小説ではなく、「癒しの物語」とか「いい話」とかを求めているにすぎない可能性がある。

 小説がアートだとすれば、表現スタイルを限定すべきでないことは、言うまでもない。

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