妊娠と出産

mukuku2009-11-01

 五反田団の『生きてるものか』(池袋・東京芸術劇場)では、死者が蘇り、死ぬ前の時間を再生。妻のお腹に夫が耳をあて、胎児の動きを確認する場面で終わる。
 脚本は、旧作の『生きてるものはいないのか』同様に前田司郎だが、とくに男性作家の場合、女性の妊娠や出産を神聖視する傾向がある。映画『無防備』(日本)でも、夫の市井昌秀が監督として、妻の実際の出産場面をそのままカメラに収め、クライマックスに挿入することで、作品の水準を一段上げたかのような印象を与えている。
 たとえ、とらえかたが安易であっても、妊娠や出産という現象を人々が批判しにくいのは、人類の歴史の中絶につながるからかもしれない。

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