2009-01-18 逡巡のあとに 貧しい国だけではなく、日本にもストリートチルドレンはいる。 権徹『歌舞伎町のこころちゃん』(講談社)は、歌舞伎町で父と路上生活をする4歳の女の子の写真集だ。 少女の窮状を知るあまり、撮影者が自身の立場を離れ、父を叱るが、父からは、どうしようもないんだという答えが返ってくる。 このとき、撮影者は、この言葉を黙認するわけでもなく、説教して切り捨てるわけでもなかった。逡巡のあと、彼なりの行動に踏み切ったのである。 表現は、こうした過程を経てこそ、成立するものだろう。