釣師

mukuku2008-05-03

 ……リアリストである井伏鱒二は釣師が魚の性質をありのままに認めた上で現実的にそれに対処するのと同じように、言葉の……我儘を許し、物語を作りたければ作らせた上で、その物語ごと絡めとって素知らぬ顔で一廻り上手の物語を作る材料にしてしまう術を覚えたのである。(平岡篤頼『記号の霙』早稲田文学会)

 獲物を釣り落とすのは、小説というジャンル自体の欠陥のよるものではない。釣師の技量不足にすぎないのである。
  
 
 

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