名訳の秘密

mukuku2008-03-16

 小説の目利きが小説好きとは限らない。

 もしかしたら、僕は小説というものをそんなに好きじゃないのかもしれない。それがいいのかもしれない。そんなに好きじゃないから、僕が終わりまで読み通せるものってのは、相当良質なものだけなんじゃないか。……結果として比較的面白い小説を紹介できたとすれば、面白くないものは僕も読めないからかも。(柴田元幸談―『Coyete』4月号より)

 小説をそれほど好きでない翻訳家からこそ、作品が選び抜かれて、名訳が生まれるのだろうか。ならば、小説をあまり好きでない作家からこそ、名作が生まれてもおかしくない。最後まで書き続けられるのは、良質な作品だけだからだ。

アクセスカウンター