2008-03-15 秩序幻想 米国映画の男は、武装して本気になれば、たとえ相手が腕ききの殺し屋でも、簡単には屈しないものだった。ところが、『ノーカントリー』(ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン)の元ベトナム帰還兵は、入念な対応にもかかわらず、モーテルであっさり殺されてしまう。 殺人防止に何の役にも立たない保安官、手間のかかるガスボンベを武器にする殺し屋……。彼らの存在は、米国流の秩序が幻想にすぎないことを証明している。 理解しがたい人間を許容し、恐怖を感じないようになれば、米国も変わるだろう。