計算と天然

mukuku2008-03-02

 ひょっとしたら本当は本当に、ここには何もないのじゃないか? という疑問というか不安がもたげてきたりもして、なんだかよくわからなくなってくる……とかなんとかつらつら考えてるうちに、ついつい最後まで一気に読まされてしまう、というのがいつものことで、これは計算なのか天然なのか、これまたよくわからない。いやもちろん計算なのだろうけど、計算を無意識に支えてる天然ということだってあるからね。(佐々木敦『絶対安全文学批評』INFASパブリケーションズ

 保坂和志『小説の自由』(新潮社)についての書評だ。
 表現というのは、計算だけではつまらないし、天然だけでは独りよがりになる。両方が交じり合い、それも想定内におさまるのではなく、想定を超えることで、おもしろくなるのだ。その配分が巧みなのが、一流の作家である。
 

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