映画の誕生

mukuku2007-09-24

 画コンテに情熱をかけた黒澤明。「絵画」が「映画」になる瞬間を記者は『八月の狂詩曲』のラストシーンに求めた。豪雨の中で傘を持った老婆が駆け出す場面だ。
 黒澤の証言がある。

「あれは何だと言われても、僕も説明できない。要するにあれが映画なんだよね。あすこでもって『完全に映画になった』んだよ」
    (日経新聞9月23日朝刊『フィルムに描く―映画監督・黒澤明』)

『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』で少女に生まれ変わったサイボーグのことを、監督の押井守は、押井自身もわからない存在だと語った。場面が作者の手を離れて動き出し、そして安直な解釈に収まらないほどの奥行きを見せるようになったときこそ、ようやく映画が誕生したと言えるのである。

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