大義名分の爆撃

 第2次大戦下、ナチス打破の掛け声の下、連合軍は特定地域への大量爆撃を実施。軍需工場が標的と言っても、実際に破壊したのは、市街だ。損害を受けたのは、住民や建物だった。工場で爆弾や戦闘機を作る労働者は、大義名分のもと、大勢の犠牲者が出ることなど、念頭にもなかった。『破壊の自然史』(ドイツ・オランダ・リトアニア、セルゲイ・ロズニツァ)に映された連合軍側の工員と、ドイツ側の市民の境遇は、対照的である。

 もっとも、当時の爆弾には、まだ人を生き残らせる余地があった。技術と効率を優先させた人類は、後年、原子力や化学剤までをも、投下するのである。

        

 

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