安らぎの時間

『ゴッド・ファーザー』(米国、フランシス・フォード・コッポラ)3部作で一貫しているのは、マフィア一家のボス、マイケル・コルレオーネの憂いだ。

 一家を支えるための活動とはいえ、ゆくゆくは合法的な組織に転換したかった。理想は実現間近で妨げられ、告解さえ、なんの救いももたらさない。妻子と別れて暮らすマイケルは、実兄に手を下したあと、愛娘さえも失う。晩年は、屋外で椅子に腰かけたまま、ひっそりと崩れ落ちる。

 虐げられた立場から独力でのし上がったマフィア。心から安らげる時間は、記憶にあるほんのひととき。仲睦まじく集う家族との会食だけだった。

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