本来の平和

 テレビ収録が前提だったとはいえ、『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』(日本、豊島圭介)で公開された三島と東大全共闘との討論会では、学生のどんな意見や態度にも、真摯に耳を傾け、いたずらな衝突で済ますのではなく、対等に言葉をかわそうとする三島の姿が記録されている。相手を小ばかにしたり、話を打ち切ったり、問いかけをそらすといった姿勢は、いっさい見られない。暴力を否定しないと言いながらも、ときには対話にユーモアを交えたりして、暴力に訴えずに済む場を一貫して維持しているのは、見事だ。平和を打破するとすれば、後年の割腹のごとく、一線を越えるしかなかったのだろう。

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