地獄への道

 情のある殺人鬼。などといった中途半端なキャラクターは、ラース・フォン・トリアーの世界とは無縁だ。『ハウス・ジャック・ビルト』(デンマーク・フランス・ドイツ・スウェーデン)は、恋人もその家族も、容赦なく殺害し、死体を人形のように変形されて悦に入る。集合住宅で女が叫び声をあげても助ける者はいない。かくして彼は、誰にも咎められることなく、堂々と殺人を実行し続けるのだ。彼の夢は死体で家を作ることであり、背後には彼と対話する男がいる。対話者は、彼を地獄へと導く。神曲の世界である。

 

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