死者の記憶

 音楽アニメ『リメンバー・ミー』(米国、リー=アンクリッチ)の少年は、死者の国に紛れ込んだ。生還のためには親族の許可が必要だ。先祖だと思って国民的大歌手に助けを求めたが、彼は先祖ではなかった。本当の先祖は、相棒のミュージシャン。彼こそが、大ヒット曲の作曲者だったが、帰郷間際、大歌手に毒殺されたのだ。
 先祖は、娘に会いたかったが、体が消えかけていた。死者が地上にとどまれるのは、記憶する者がいる間だけ。写真も残っていない先祖は、娘から忘れられようとしていた。
 少年は先祖の許しを得て、生者の国に戻った。娘である曾祖母に肉親のことを思い出させ、写真を見つけた。写真を祭壇に飾ったあと、先祖が還って来た。
 死者の存在は、死で終了するわけではない。

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