自分の維持


君の名は。』(日本、新海誠)は、これまでの同監督に見られた一方的な思いや、ナルシスティックな独白は少ない。特殊な光の場面も、抑えめだ。ストーリーも一般的な観客に受け入れやすくしており、ヒットの一因だろう。
 時代と空間が結びつき、事前の回避によって、彼女たちは、大災害から救われる。希望を見出す物語だ。
 主演男女以外のキャラクターは、彼らの行動を変えるるほどの存在ではない。彼らに引っ張られるだけだ。
 彼らは、心の深部では他者と距離を置いている。自分の世界に生きるキャラクターは、健在だ。
 ポピュラー路線を期待されるようになった新海。今後どこまで作家性を発揮できるのかが、注目される。

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