企画の知恵

 番組の題材に規制が入るのは今に始まったことではない。
 インタビュー「なぜNHKで「あんなドラマ」が作れたのか――?」(『週刊金曜日』27日号)で脚本家の早坂暁は、『天下御免』(1971年)ではアイヌ、『夢千代日記』(1981年)では原爆を取り上げたが、番組をつぶされないために、「天下」では、「史実を題材にして、それをもう少し展開させるという手法をとった」と明かしている。「夢千代」では、タイトルによって、「芸者の話です、と話を持ってい」ったと言う。

 敏感な放送官僚の目をくぐり抜けるための知恵。そうした手法によって表現されたものは、直接的に直接に民主主義とか、米国批判を訴えるものよりも、よほど視聴者に受容されて、普遍性を持つだろう。

 制約を逆手に取れば、作品の影響は、かえって広がるのである。

アクセスカウンター