2016-01-26 ある渓谷の物語 フロベールの『ボヴァリー夫人』を現代に置き換えた『アブラハム渓谷』(ポルトガル、マノエル・ド・オリヴェイラ)は、夫人のエマがどれだけ性愛に奔放であろうとも、自分を見失わないのに比べ、俗っぽい周囲の男たちは、振り回されるだけで、どこか頼りない。 エマも、その夫も、哀れな最期を遂げるが、この種の人生は、未来永劫において、繰り返されるのだろう。