ある渓谷の物語

 フロベールの『ボヴァリー夫人』を現代に置き換えた『アブラハム渓谷』(ポルトガルマノエル・ド・オリヴェイラ)は、夫人のエマがどれだけ性愛に奔放であろうとも、自分を見失わないのに比べ、俗っぽい周囲の男たちは、振り回されるだけで、どこか頼りない。
 エマも、その夫も、哀れな最期を遂げるが、この種の人生は、未来永劫において、繰り返されるのだろう。

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