ゲゲゲの日常


『ゲゲゲの家計簿』(小学館)は、水木しげるが貧乏時代を綴った生活漫画である。
 家族との同居で、ぎりぎりの家計。残金ゼロの日もたびたびあるが、たまに好きな物を買ったり、遊ぶ楽しみは絶やさない。
 売れっ子になったからこそ、振り返ることのできる過去。戦地から生き残った幸運とたくましさは、紙芝居や貸本の凋落にめげず、日々を必死かつ、楽しく生きる精神を培っていた。
 周囲の奇怪な人間たちは、妖怪のように怪しげだ。水木の目を通せば、だれもが憎めない人間臭さに満ちている。

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