記憶と堕落

戦後の堕落は結局のところ持続しなかった。集団はその後も暴走する。過ちを繰り返す。なぜならこの国は記憶しない。絶望しない。堕ちない。ぎりぎりのところで新しい曲で踊り始める。(森達也「深い絶望と共に考え続ける」(『週刊金曜日』9月18日)

 正確に言えば、だれもが記憶していないわけではない。為政者ほど、体験した記憶も、聞かされた記憶も、忘れることなく、胸に刻み込み、負の記憶には、復讐さえするつもりで、執念深く立ち回るだろう。抵抗に遭えばあうほど、頑なに主義主張を貫こうとするのである。
 彼らの主義を守るのは、彼らではない。彼らに命じられ、彼らに規制された者たちなのだ。

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