運命の皮肉


 秘密警察員の夫に愛情どころか、恐怖心しか、抱いていなかった妻。エリートの彼が窮地に陥ってから、ようやく愛情を感じる。
 社会的身分と私的幸福が一致するとは限らないが、『チャイルド44 森に消えた子供たち』(米国、ダニエル・エスピノーサ)でスターリン体制に翻弄される秘密警察員の運命も、その意味でリアルだ。
 運命とは皮肉なものである。たとえ、為政者が誰であったとしても。

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