虐殺のリアリティー


 きわめて人間的な漁民たちが、なぜ難民の虐殺に走ったのか。
『海にかかる霧』(韓国、シム・ソンボ)は、トラブル続きの船内における壮絶な展開によって秘密を解き明かす。
 金と事業存続がかかれば、これまで犯罪とは無縁だった船長でさえ、魔が差すことはありうる。一線を越えれば、あとは堕ちるのみだ。
 実際の事件に材を取ったという本作は、船上以外の場でも起こりうるリアリティーを備えている。

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