世界が焼き尽くされる前に


 CG全盛の時代、ミニチュアや小道具を主体にした特撮は、役目を終えつつある。作られたものは壊され、ノウハウだけが残る。だが、蓄積した職人芸と奇抜なアイデアは、想像の世界を形作るうえで不可欠だ。
 今日では名前すら耳にする機会のないマイナーな特撮番組のデザイン画やミニチュアでさえ、『館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技』(東京都現代美術館)には、多数展示されている。通路をふさぐほど詰めかけた大勢のギャラリーの中にも、ノウハウの継承者が出現するに違いない。
 上映されたショートフィルムでは、巨神兵が東京に現れる。世界が一瞬で焼き尽くされるのではない。破壊が終わるまでに7日間かかるのだ。
 まだ7日間ある。ものづくりのスタッフによるメッセージだ。
 

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