力の世界


 ある時期まで通用した手法も時代とともに合わなくなる。その時点で、方向転換するか、身を引けば、組織は改革できるだろう。
 ところが、一度、地位を得た者は、おいそれと支配力を手放さない。過去のトラウマから、独裁制をいっそう強化する。
 支配される側は、文句を言いながらも、流れに身を任す。立ち向かうのは、損するだけだからだ。かくして、力の世界は維持される。
 読売王国の総帥を軸に、関係者との攻防を明らかにした魚住昭渡邉恒雄 メディアと権力』(講談社文庫)には、日本社会そのものの姿がある。

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