2011-09-02 見えた風景 エッシャーの石版画『カストロバルバ』について、生物学者の福岡伸一が指摘している。 もしこの風景を写真に収めたとしたら、決してこのように見えることはない。見上げる視点と見下ろす視点、そして遠望と今歩いている道。これら多視点がひとつの画面の中に複合されているのだ。 人間もまた生物として独自の知覚と行動によって自らの「環世界」を作り出している。(「動的な美 十選」『日本経済新聞』8月25日朝刊) 見えた世界がどんなものだったのか。 同じ風景でも、別の画家ならば、まったく違うのである。