個と全体

mukuku2010-01-10

 横浜美術館で企画展『束芋 断面の世代』が開催され、図録の巻頭に束芋がこんな一文を寄せている。

団塊の世代」に対して私の世代(大雑把に1970年代生まれ)を「断面の世代」と勝手に名づける。……
 大きな塊になることによって、世の中を大きく動かし、後の世代にも影響を与えてきた世代に対して、私たちは個に執着し、どんな小さな差異にも丁寧にスポットライトを当てる(すべてにピントを合わせた写真や緻密な描画が魅力の絵画、逆に極端に一点に焦点を合わせた作品も私たち世代の特徴のように思う)。

 一方で、「断面の世代」は「団塊の世代」に反発するわけではない。意識しつつ、接近しようと試みている。

 反発する部分もあるんですけど、どこか切り離せない部分があるような気がしますね。(吉田修一との対談から)

 団塊の世代に親近感を覚えるかどうかは、年代によって温度差がある。とはいえ、個の物語が全体の物語と往復するという傾向は、事実であろう。

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