日本語が亡びないために

mukuku2008-12-31

 地球のありとあらゆるところで、さまざまな作家が、さまざまな条件のもとで、それぞれの人生を生きながら、熱心に、小説や詩を書いている。もちろん、六十五億の人類の九割九分九厘は、そんな作家が存在したことも、そんな小説や詩が書かれたことも知らずに死んでいく。(水村早苗『日本語が亡びるとき筑摩書房

 マイナーな文化である文芸作品を少しでも多くの人に読まれるためには普遍言語としての英語を習得し、また日本語に深みを与えるために日本の古典を学ぶべしという著者の主張は正論だ。
 普遍言語が英語でいいのか、また、日本語を洗練させる方法が古典に回帰するだけでいいのかという問題も残るが、そのようなことを考えさせるだけでも、本書は刺激的な好著と言えるだろう。

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