本当の物語

mukuku2008-11-29

 私がすごく面白いと思った話でも、父は愛想で笑ったりせず、「どこが面白いんだ」と一刀両断する。……だんだんどういうお話なら父が面白がるかを覚えていったんです。結果的にお話とは物語であって、この世の中の出来事はたいてい物語で作られているけれども、上等な物語と偽物の物語、あるいは、本当の物語と出来合いの物語があるんだということを覚えたんだと思います。(井上荒野談『小説新潮12月号』)

 物語らしきものは、この世にいくらでも転がっているが、本当の物語は少ない。だからこそ、価値があるのだろう。

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