癒しと怒り

mukuku2008-06-04

 本来の癒しは、本心を小手先の手段でごまかすことではない。

 ここ十数年、日本で広がっているのはすべてを心の問題とする考え方で、これを私は心理主義と呼んでいる。自分の心さえなんとかすれば、幸せに生きていけるという感覚だ。学校や会社でいやな事があっても、癒しグッズで一息つく。だが、明日になるとまた同じことの繰り返し。社会は何も変らない。
 ……愛と思いやりがあればこそ、不正や差別への怒りも生ずる。短路的にキレるのではなく、深い怒りを持て。怒りは「癒し」の源泉なのだ。(文化人類学者・上田紀行談―日本経済新聞4日夕刊) 

 深い怒りは、環境の根本的な変革につながる。そのとき初めて、心を癒されるのである。
 
 

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