中国で台頭しつつある、いわゆる新中流層の人々にとって、いまは希望あふれる時代だが、同時に不安も抱えている。……変化のない社会主義国で生まれ育った人々にとって、自由はかならずしも解放ではなかった。遅れをとりたくなければ、必死で走り続けなければならない。ある調査によると、中国の都市生活者の45％はストレスによる健康リスクを抱えていて、その多くがなんと高校生だという。（張彤禾「台頭する中流層 ベラ15歳」――『ナショナルジオグラフィック』5月号）
経済成長はマイナス面ばかりではないが、精神疲労が蓄積するのも事実だ。
私はベラの担任……に話を聞いた。「クラス委員の選挙は、子どもたちに強くなることを教えます。彼らは将来、いろんな圧力や競争に直面するでしょう。そのときに、たとえ負けてもへこたれない強さを身につける必要があるのです」
偽善的な平等政策とは違い、現実的な指導ではある。
一方で、強くなれない子どもは、どうするのかという問題も残る。競争社会のステップを踏むにしたがって、挫折のリスクも増えるのである。
強くなれなくても、へこたれないのが、本当の強さかもしれない。
