映画の飛躍

 親とは不仲で、祖母からは家の恥と責められる。夫はまともに働くことなく、暴力をふるう。幼い子どもを食べさせるにも、未成年で金を稼ぐのは、体を売るか、違法なキャバで働くのみ。『遠いところ』(日本、工藤将亮)の舞台は沖縄のコザだが、どの地でもありうる日常だ。

 現実にいそうな人々をドキュメンタリーのようなタッチで映していくが、施設に連れ込まれた幼な子を取り返して疾走し、海の中に入っていくラストに、映画としての飛躍がある。

       

 

アクセスカウンター