世界の不合理

 映画プロデューサーを目指す新人アシスタントが活動する場面の大半は、オフィス内の事務作業だ。『アシスタント』(米国、キティ・グリーン)は、ハラスメントを働く会長の姿そのものは見せない。見て見ぬふりをする同僚や、もみ消しに加担する人事担当者が、報復されることもない。映画としてのカタルシスを排除することで、どの世界にもある不合理を観る者の心に刻ませるのである。

       

 

アクセスカウンター