血縁の救い

 仲の悪い二人が衝突の挙句、わかり合うという話ならいくらでもあるが、『犬猿』(日本、吉田恵輔)は、兄弟・姉妹それぞれが、生死をさまよう事態を経験しても、互いのスタンスを変えることなく、いがみあう。対立し、差異を実感することで、お互いをより認め合うかにも見える。殺し合いにまでには至らないぎりぎりの関係。血縁の実感は、非情でありながら、救いでもある。

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